オリオン税理士法人
不動産の売却

土地と建物の取得費の内訳が不明の場合


概要

 区分マンションや建売住宅を購入した場合、土地(敷地権)と建物の取得価額の内訳が不明な場合があります。売買契約書の内訳に消費税が記載されている場合は、建物にのみ消費税が課税されていることから、消費税の額から逆算して建物の取得価額を算出することも可能です。そのような情報が無い場合には、「建物の標準的な建築価額表」を利用するなどします。当該建築価額表は、国交省公表の建築着工統計を基に構造別の1㎡当たりの工事費予定額を算出したものです。


消費税額から購入時の取得価額を計算する場合


計算事例

Q.

Aさんは、平成20年(2008年)7月に居住用として5100万円で購入した建売住宅(木造)を、令和7 年(2025年)5月に売却しました。譲渡所得の計算を行う際の、土地・建物の取得費合計額はいくらになるでしょうか。
 なお、購入時の売買契約書には土地と建物の内訳の記載は無いものの、消費税額10 0 万円と
記載がありました。

A.

1.購入時の消費税2008年の消費税率 5%  消費税額160万円
2.建物の取得価額100万円 × 1.05 / 0.05 = 2100万円
3.土地の取得価額5100万円-2100万円 = 3000万円
4.経過年数16年10月(2008/7-2025/5) ∴ 経過年数17年(6か月以上は切上)
5.建物用途居住用
6.構造/償却率木造 / 0.031
7.減価償却累計額2100万円×0.9×0.031×17年=9,960,300円
8.譲渡時の建物の取得費②-⑦=11,039,700円
9.譲渡時の取得費合計③ + ⑧ = 41,039,700円


建物の標準的な建築価額表から購入時の取得価額を計算する場合

 「建物の標準的な建築価額表」から、土地と建物を区分する場合には、下記の計算過程により建物の購入時の取得価額を算出します。

 中古建物の場合には、上記⑴の計算に加えて、新築時から取得までの期間の減価償却累計額を控除して、購入時の取得価額を算出します。


計算事例

Q.

 Aさんは、平成20年(2008年)7月に居住用として新築マンションを3,300万円で購入し、令和7年(2025年)5月に売却しました。譲渡所得の計算を行う際の、土地・建物の取得費合計額はいくらになるでしょうか。
 なお、購入時の売買契約書には土地と建物の内訳の記載はありません。
 登記事項証明書を確認したところ、建物の専有面積は70㎡であり、構造は鉄骨鉄筋コンクリート造でした。

A.

1.建物の新築年平成20年(2008年)
2.構造/償却率鉄骨鉄筋コンクリート造 / 0.015(非業務用)
3.標準的な建築単価229,100円/㎡(下記 建築価額表参照)
4.建物の専有面積16年10月(2008/7-2025/5) ∴ 経過年数17年(6か月以上は切上)
5.購入時の建物取得価額70㎡
6.購入時の土地取得価額229,100円×70㎡=16,037,000円
7.経過年数16年10月(2008/7-2025/5) ∴ 経過年数17年(6か月以上は切上)
8.減価償却累計額⑤ × 0.9 × 0.015 × 17年 = 3,680,492円
9.譲渡時の建物の取得費⑤ - ⑧ = 12,356,508円
10.譲渡時の取得費合計⑥ + ⑨ = 29,319,508円

建物の標準的な建築価額表(国税庁HPより)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/syotoku/joto/pdf/001.pdf

お使いのブラウザーはこのサイトの表示に対応していません。より安全な最新のブラウザーをご利用ください。