オリオン税理士法人
不動産の生前対策ケーススタディ

タワーマンション節税の防止策が浮上


概要

一般的に20階以上の高層マンションがタワーマンションと言われているようですが、資産家の間では、これまでこのようなマンションを利用した節税対策が利用されてきました。タワーマンションの場合、宅地の相続税評価額が概ね実勢価格の3割程度になるといわれています(戸建ての場合は実勢価格の6割程度)。ただし、このタワマン節税が、今後改正される可能性があります。
改正案としては、実勢価格と相続税評価額の乖離率が1.67倍以上の場合には、従来の評価額に乖離率と0.6を掛けることで評価額を引き上げる内容です。

ポイント1.宅地の評価方法

相続税法上の宅地の評価方法は、「路線価×面積」によります。マンションの場合には、これに敷地権割合を乗じます。そのため、仮に戸建とマンションが同じ面積に建っていた場合、マンションは各所有者の持分割合に応じて宅地を所有することになり、戸数が多ければ多い程敷地権割合は小さくなります。その最たるものが、タワーマンションと言えます。

ポイント2.階層による価格の乖離

タワーマンションの場合、上層階になればなるほど、取引価格は上昇します。しかし、相続税法上の評価の場合、下層階であれ、上層階であれ評価方法は、「路線価×面積」になります。従って、同じ敷地権割合であれば宅地の評価は同額になることから、上層階を購入することで資産を圧縮することができるのです。また、タワーマンションは立地条件や眺望が良いなど時価が目減りしにくいのです。

ポイント3.改正案による宅地評価額

現行の宅地相続税評価額×乖離率×0.6=改正後宅地評価額
(注)0.6を乗じることで、戸建ての乖離率に平仄を揃えることを検討している


ケーススタディ

Q.

Aさんは、タワーマンションを所有しています。評価方法の見直しがされた場合、どの程度影響が生じるのでしょうか。

【前提条件】
・法定相続人 子1名
・タワーマンションの宅地の実勢価格1億円、現行の宅地の相続税評価額は3千万円
・宅地の相続税評価額の乖離率は3.3倍(1億円/3千万円=3.3)
・タワーマンションの建物の固定資産税評価額は2千万円
・小規模宅地等の特例は考慮しない
・タワーマンションの他に相続財産はない

A.

No.項目現行法改正案差額備考
宅地評価3,0005,9402,9403千万×3.3×0.6=改正案評価
建物評価2,0002,0000建物の評価の見直しはない
課税遺産額合計5,0007,9402,940①+②
相続税△160△668△508508万円の増税
単位:万円

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