オリオン税理士法人
相続税

当初申告要件について


昔の話ですが平成23年度税制改正において、個別税法の当初申告要件が(原則)廃止となりました。
また税額控除額等の適用額の制限についても見直され、修正申告等により増額が可能となりました。
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/120229/pdf/01.pdf
 
一方で租税特別措置法に規定する特例制度については当初申告要件は廃止されていません。
(例)試験研究を行った場合の法人税額の特別控除
  給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除
  中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例 等
 
当初申告要件とは、確定申告書等に控除を受ける金額の計算に関する一定の明細書を添付することを指し、当初申告要件が設けられている措置の事後的な適用は認められません。
 
ここでの「確定申告書等」には、確定申告書・中間申告書のほか、期限後申告書も含まれ、期限後申告書は、申告期限を過ぎてから税務署長による課税標準等の決定があるまでの間に提出するものをいいます。
 
また当初申告要件が付されている上記インセンティブ措置は控除額も制限されています。
具体的には、明細書に記載した対象金額を後から増やすことによって控除額を増額することはできません。
 
<賃上げ促進税制の場合>
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/shinkoku/itiran2022/06-31.htm
※「適用年度の比較雇用者給与等支給額」又は「前事業年度の雇用者給与等支給額」のいずれか又は両方を誤って申告した場合であっても、控除対象雇用者給与等支給増加額は、確定申告書等に添付された書類に記載された控除対象雇用者給与等支給増加額が限度とされていますので、修正申告書又は更正請求書により、控除対象雇用者給与等支給増加額を増加させることはできませんのでご注意ください(措法42の12の5⑤)。
 
近年は「給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除(賃上げ促進税制)」の適用を受ける旨の申告書を提出する法人が多いと思いますが、明細書の金額の記載誤りが目立つようです。
賃上げ促進税制の改正により税額控除しきれない額の5年間繰越も可能となりましたので、特に注意が必要となります。

 (小林)

お使いのブラウザーはこのサイトの表示に対応していません。より安全な最新のブラウザーをご利用ください。