一般的には、法人が海外渡航に際して支給する旅費は、その海外渡航がその法人の業務の遂行上必要なものであり、かつ、その渡航のため通常必要と認められる部分の金額に限り、旅費としての法人の経理が認められています。
したがって、法人の業務の遂行上必要とは認められない海外渡航の旅費の額はもちろん、法人の業務の遂行上必要と認められる海外渡航であってもその旅費の額のうち通常必要と認められる金額を超える部分の金額については、原則としてその役員または使用人に対する給与となります。
また、その海外渡航が旅行期間のおおむね全期間を通じ、明らかに法人の業務の遂行上必要と認められるものである場合には、その海外渡航のために支給する旅費は、社会通念上合理的な基準によって計算されている等、不当に多額でないと認められる限り、その全額を旅費として経理することができます。
会社業務の視察等と観光が混合する場合(法基通)9-7-6については、次のとおりの取り扱いとなります。
・原則的な取り扱い
「その旅行に通常要する費用の額に、旅行日程の区分による業務従事割合を基礎とした損金又は必要経費算入の割合を乗じて計算した金額を旅費として損金の額又は必要経費の額に算入する。」となっております。
業務従事割合:業務に充てた時間と観光に充てた時間の割合
算式
視察等の日数 ÷ (視察等の日数 + 観光の日数)
損金算入割合:業務従事割合を10%単位で区分したものとするが、
その区分に当たり業務従事割合の10%未満の端数については四捨五入することとします。
・簡便的な取り扱い
その旅行に通常要する費用の額を往復の交通費の額とその他の費用の額とに区分し、損金算入割合を乗じて計算します。
損金算入割合90%以上は、全額経費OK
損金算入割合50%以上は、往復の交通費+(その他の費用の額×業務従事割合)
損金算入割合50%未満は、旅行に要した費用×業務従事割合
損金算入割合10%以下は、全額給与
日数の区分は下記4つに分けられ内容も詳細に定められています。
視察等の日数
観光の日数
旅行日の日数
その他の日数
日数区分
昼間の通常の業務時間(おむね8時間) を1.0 日としてその行動状況に応じ、おおむね0.25日を単位に算出する。ただし、夜間において業務に従事している場合には、これに係る日数を「視察等の業務に従事したと認められる日数」 に加算する。
視察等の日数
工場、店舗等の視察、見学又は訪問など
観光の日数
自由行動時間での私的な外出など
旅行日の日数
目的地までの往復及び移動に要した日数
現地における移動日等の日数でその内容からみて「視察等の日数」又は「観光の日数」に含めることが相当と認められる日数(観光の日数に含めることが相当と認められる当該移動日等の日数で、土曜日又は日曜日等の休日の日数に含まれるものを除く。) は、それぞれの日数に含める。
その他の日数
土曜日又は日曜日等の休日の日数など
(例)
7日間の旅行で、視察3日、観光1日、旅行日の日数1日、その他の日数1日の場合
業務従事割合75%→損金算入割合80%
往復の交通費+(その他の費用の額×業務従事割合)
会社業務の視察等と観光が混合する海外渡航を検討する場合には、
その旅行の目的、日程表、研修内容がわかるものを備え、せっかく会社業務の視察等で
行ったのに経費にできない事態にならないように注意しましょう。
ビッキー