オリオン税理士法人
所得税

海外赴任時の所得税等の源泉徴収


<対象者>
年の途中で非居住者となる、海外の支店などに1年以上の予定で転勤する法人の役員や使用人
 

<海外に出国する前>
国内源泉所得(国内勤務で得た給与等)が源泉徴収の対象となります。(所法161)
年末調整の対象となる者は、海外に出国する日までに給与所得者の扶養控除等申告書等を提出し年末調整します。
社会保険料控除等の対象は、出国する日(居住者であった期間)までに支払われたものに限られます。
扶養控除等は、出国の時の現況により生計を一かどうかを、また出国時にその年の1月1日から12月31日までの合計所得金額を見積り、扶養親族等がその控除対象となるかどうかを判定します。
 

<海外に出国した後>
①内国法人の役員に対する報酬
国内源泉所得に該当することから、20.42%の税率で源泉徴収が必要です。ただし、その役員が、海外支店の支店長など使用人としての立場で常時海外において勤務している場合には、源泉徴収の必要はありません。

②非居住者となった使用人の海外における勤務に対する給与等
国内源泉所得に該当しないことから源泉徴収の必要はありません。
なお海外で勤務している使用人や使用人として常時海外で勤務している役員に対して国内において賞与が支払われ、その計算期間内に日本で勤務した期間が含まれている場合には、日本での勤務期間に対応する金額に対して20.42%の税率で源泉徴収が必要です。


<海外に出国した後に支給した給与等に係る源泉所得税>
①4月15日出国
 【給与計算期間】4月1日~4月30日
 【給与支給日】5月25日のケース

4月16日から非居住者となり、給与計算期間のうち4月1日~15日分は国内勤務、16日~30日分は国外勤務によるものとなるため、原則では国内勤務分の給与について20.42%の税率で源泉徴収が必要となります。
ただし、給与等の計算期間の中途において居住者から非居住者となった場合、給与等の計算期間が1か月以下であれば、給与等の計算期間のうちに日本での勤務期間が含まれていても源泉徴収をしなくてもよいことになっていますので源泉徴収不要となります。
5月25日支給給与は国外源泉所得となり、また同時に支給される国内勤務に係る残業手当等も国外源泉所得に該当します。(所基通212-5)
 

②5月15日出国
 【給与計算期間】4月1日~4月30日
 【給与支給日】5月25日のケース

非居住者に対して、国内源泉所得の支払をする者(国内に事務所等を有する場合に限る)は、その支払の際、所得税等を源泉徴収し、納付する義務があります。
給与計算期間中はすべて国内で勤務しており、5月16日から非居住者となり給与支給日時点では非居住者に該当するため、5月25日支給の給与について20.42%の税率で源泉徴収が必要となります。(所法212、213)
この場合、源泉徴収により課税関係が完結となるため、確定申告は必要ありません。また納付期限は6月10日ではなく6月30日となります。

上記のとおり出国日によって取扱いが変わるため注意が必要となります。

 (小林)

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