換地処分は、土地区画整理事業の一環として行われ、従前の土地を行政が換地計画に基づき新たな土地に変える手続きであり、土地利用の利便性を高める目的がある。
換地処分のおおまかな流れ
→土地区画整理事業の計画に基づき、どの土地がどの地権者に割り当てられるかを定めた換地計画が策定される。
→土地区画整理事業の換地計画が決定されると、地権者に対してその内容が通知され、意見を募るための縦覧が行われる。
→土地区画整理事業の換地計画に基づき、従前地の権利が換地に移転することを公告する。
→換地処分の効力が発生すると、施行者は、換地に関する登記を行う。
→換地により生じた地権者間の不均衡を調整するため、清算金を徴収または交付し調整手続きを行う。
→清算手続きが完了すると組合の解散手続きが行われ、最終的に土地区画整理事業は完了となる。
従前地は、仮換地の指定を受け、減歩分として地権者から提供された土地を施行者が留保し、事業費等に充てる。この土地は保留地と言われる。
換地における清算金について
清算金の算定の基準は、換地計画に基づいて決定されている。
従前地の評価額と換地後の評価額を比較し、その差額が清算金の額となる。
換地後の評価額が、従前地より高くなれば徴収され、従前地より評価額が下がる場合は、清算金が交付される。
個人の取り扱い
換地処分により譲渡した土地等は、換地部分については、譲渡がなかったものとみなされ、
清算金部分は、譲渡所得とみなされる。
「一団の土地の区画形質の変更に関する事業(土地区画整理法、土地改良法等の規定に基づくものを除く。)が施行される場合において、その事業の施行者とその一団の土地の区域内に土地(土地の上に存する権利を含む。以下この項において同じ。)を有する者との間に締結された契約に基づき、従前の土地の所有者が有する土地をその事業の施行のためにその事業施行者に移転し、その事業完了後に区画形質の変更が行われたその区域内の土地の一部を従前の土地の所有者が取得するときは、その従前の土地の所有者が有する土地のうちその取得する土地の面積に相当する部分は譲渡がなかったものとみなす。」(所得税法第33条の6の7)
ただし清算金部分については、収容による交換処分と同様で対価補償金等で代替資産を取得する場合の課税の特例(措法第33条)や、特別控除の特例(5,000万円特別控除)(措法第33条の4)の選択適用ができる。換地部分は譲渡がなかったものとして確定申告が不要だが、清算金について上記特例を受ける場合には確定申告が必要になる。
法人の取り扱い
租法第65条によると、換地による土地取得分は帳簿価額と同額とみなされ譲渡ではあるが非課税扱いとなる。清算金は対価補償金として取り扱われ、益金に算入されたうえで課税される。
上記特例は法人でも適用可能。
消費税の取り扱い
土地改良法等に基づく換地処分による権利変換は、新しく取得した土地も従前の土地とみなすこととされているため、資産の交換にあたらず、資産の譲渡等に該当しないため、課税対象外となる。一方、清算金の交付を受けた場合には、土地の譲渡として非課税取引となる。
換地処分は、実務上あまり出てこない事例ですが、清算金に関する税務特例の適用可否など
見落とさないように注意が必要だと改めて感じました。
ビッキー