❶ 永年勤続者への記念品について
永年勤続者が受ける記念品等の経済的利益については、原則的には給与課税の対象となりますが、①支給した記念品等の額が勤続期間に照らして社会通念上相当と認められること、②概ね10年以上の勤続年数の社を対象とし、2回以上表彰を受けている者の場合は概ね5年以上の間隔をあけて行われている場合には給与課税しなくてよいものとされています。
社会通念上相当と認められる額は国税庁から明示されていませんが、一昔前の書籍では勤続30年で20万円であれば差し支えないとありました。物価が上がっている昨今の情勢を踏まえても勤続30年で30万円が上限ではないでしょうか。
さて、永年勤続表彰の記念品として旅行券を支給する会社もあるようです。旅行券の場合、換金性が高いため、現金支給と変わらないため給与課税が必要なのではないかという見方もありますが、①1年以内に旅行を実施し、②会社が領収書等で旅行の事実を確認した場合には、給与課税しなくてもよいこととされています。ただし、使用の有無にかかわらずカタログギフトのように選択性の高いものは給与課税される可能性がございます。
➋ 創業記念品について
創業記念品等に関しては①支給する記念品が社会通念上記念品としてふさわしいものであること、②処分見込額が概ね10,000円以下であること、③創業記念のように一定期間ごとに支給する記念品は、相当期間ごとに支給すること(毎年支給する場合は×)という要件を満たす場合には給与課税の必要がありません。
なお、記念品として社会通念上ふさわしいものとは社名が刻印された置時計や花瓶、ペンなどが考えられ、こちらもカタログギフトなどの選択性の高いものは除外されます。
❸ まとめ
永年勤続者への記念品よりも創業記念品の方が給与課税の要件が厳しいのは、記念品を配布する規模や、受給者の会社への貢献度を考慮してのことだと思われます。
給与課税の問題を抱えつつも、配った相手から喜ばれるものを贈ることが本質ですので、税理士にご相談いただきながら良い品を選んでいただければと思います。
(HIPON)