オリオン税理士法人
相続税

ふるさと納税で相続税も減額できます!


(1) はじめに

地方公共団体にふるさと納税を行うと、寄付額の内2,000円を超える部分が所得税及び住民税から控除することができます。同様に相続又は遺贈により取得した財産を地方公共団体にふるさと納税をした場合には、相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められる場合を除き、所得税、個人住民税の他、相続税も軽減させることができます(措置法70条1項)。


(2) 相続税におけるふるさと納税の適用要件

相続税においてふるさと納税を適用するためには以下の2要件が必要になります。

① 相続税の申告期限までにふるさと納税を行うこと

② 相続税の申告書の第14表に寄付の事実を記載して提出すること


(3) 本制度の注意点

① スケジュールがかなりタイト

措置法70条1項は『相続又は遺贈により財産を取得した者が、当該取得した財産をその取得後当該相続又は遺贈に係る(中略)申告書の提出期限までに地方公共団体に贈与をした場合には、(中略)、当該贈与をした財産の価額は、当該相続又は遺贈に係る相続税の課税価格の計算の基礎に算入しない。』となっており、❶ 相続税の申告期限までに遺産分割協議を完了し、➋ ふるさと納税の実行及び領収書の入手をし、❸ ふるさと納税の寄付額を相続税の税額計算に反映させるという行為を、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に行わなくてはいけません。これは申告実務の経験上かなりタイトといえます。

なお、試算や協議の段階で寄付可能額を算出して事前に寄付をすると、相続財産からの控除が認められなくなる可能性があるのでご注意ください。


② 換価した財産は対象外

相続税の寄附金控除の対象となるのは、相続等で取得した財産(現預金や生命保険金等)の寄附に限定されているため、例えば、相続した不動産を売却したお金で行ったふるさと納税は、相続税の寄附金控除の対象にはなりません。(通常の確定申告で所得税、住民税の減額をすることは可能です。)


③ ふるさと納税の控除上限に注意

ふるさと納税には、年収・扶養家族・住宅ローン控除の有無等によって異なる控除上限額が設けられています。ふるさと納税により減額されるのは相続税ではなく、あくまでも課税財産額であり、寄付をし過ぎると控除が満額受けられなくなる可能性がございます。


④ ふるさと納税で相続税が0円になっても申告は必要

相続税の寄附金控除は、相続税の申告期限までに、寄付の証明書を添付して申告書を提出することが要件となります。相続税の申告期限内に寄付をして相続税が0円になっても、申告を怠ると相続税の寄附金控除は受けられず、納税が生じますのでご注意ください。


(4) おわりに

寄付したふるさと納税は、相続税の申告の他、確定申告時にも控除を受けることができると解されています。例えば、相続税、所得税共最高税率の方が100万円の寄付を場合には、最大で154.8万円の減税となり、寄付額以上に税金を下げる効果があります。

条文には「相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められる場合を除き、」とありますので、過度な行為は認められない可能性がありますが、資産家の方は是非とも活用をご検討ください。


(HIPON)

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