オリオン税理士法人
法人税

企業版ふるさと納税のやり方と注意


 企業版ふるさと納税は、正式には地方創生応援税制と呼ばれ、企業が地方公共団体の地方創生事業に対して寄附を行った場合に、一定の税額控除が受けられる制度であり、寄付額の最大9割が法人税等から控除されるため、実質負担1割で地方創生に貢献できるそうです。

 企業版ふるさと納税のリーフレットによると9割の内訳は、損金算入で約3割、税額控除で最大6割となっています。
https://www.chisou.go.jp/tiiki/tiikisaisei/portal/pdf/R6panph.pdf

1.ポータルサイトで完結の個人のふるさと納税と相違する企業版ふるさと納税の始め方
①寄付先の選定
 寄附先は、国が指定した企業版ふるさと納税の対象自治体のみではありますが、地域にこだわらず、企業のCSR(企業の社会的責任)や事業内容に合うプロジェクトを選択するのがおすすめです。

②寄附申込み及び寄附額の決定
 寄附したい金額を決め、自治体の申し込み窓口へ連絡し、手続きを開始する。
寄附申出書には、寄付を行う企業情報。寄付金額などの内容・寄付に関する条件を記載する必要がございます。

③寄付金の支払い
 寄附金の支払いは、銀行振込やクレジットカードなど自治体ごとに異なります。
寄附金の支払いが完了した日が寄附日となるため、決算対策などの場合で決算期末日ギリギリの場合は注意が必要となります。

④受領証明書の取得
 寄附後に自治体から寄附金受領証明書が発行されます。
税務申告時の添付必要になります。

2.企業版ふるさと納税の確定申告時の必要書類
 国税の場合は、別表六(二十二)の認定地方公共団体の寄附活用事業に関連する寄附をした場合の法人税の特別控除に関する明細書を提出する必要がございます。
なお、国税の場合は、寄附金の受領書の添付は必要ありません。

地方税の場合は、第七号の三様式、第二十号の五様式 特定寄附金を支出した場合の税額控除の計算に関する明細書を提出する必要がございます。
地方税の場合は、受領書の写しの添付が必要です。
*受領書の写しの添付が漏れやすいので申告の際は注意してください。

3. 実質負担1割の落とし穴
 法人税率が低い企業、赤字企業や繰越欠損金がある企業では、税額控除をフルに活かせません。    また、税額控除には上限があり、住民税・事業税・法人税それぞれに制限があります。
中小企業は、法人税率が低く、法人住民税・法人事業税の金額が少ないため、控除上限に達してしまうケースが多いです。
よって、すべての企業が実質負担1割で制度を活用できるとは限らないので注意が必要です。


 ポータルサイトで完結の個人のふるさと納税と違い、自治体とのやり取り等、手続きが煩雑な点や仕組みがわかりにくいといった理由で活用が進んでいないように見うけられます。
大企業では、実質負担1割での寄付が可能と思われますが、中小企業では、税率・控除条件・利益状況により負担割合が大きくなってしまうケースが多いです。

したがって、中小企業で企業版ふるさと納税をやる場合は、事前のシミュレーションが必要不可欠となります。

ビッキー

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