オリオン税理士法人
雑記

国民年金の免除申請(失業特例)の留意点


収入の減少や失業等により国民年金保険料(以下「保険料」)を納めることが経済的に困難な場合に免除申請をすることができます。
 

<1.保険料免除制度>
申請者本人・世帯主・配偶者全員の合計の前年所得金額(1月から6月までに申請する場合は前々年)が一定額以下の場合や失業した場合など、保険料を納めることが経済的に困難な場合は、本人が申請書を提出し、承認されると保険料の納付が免除されます。
免除される額は、全額、4分の3、半額、4分の1の4種類があります。
 

<2.申請できる期間>
保険料の納付期限から2年を経過していない期間(申請時点から2年1カ月前までの期間)
申請は年度ごと(7月~翌年6月)
 

<3.失業等による特例免除>
失業・倒産・事業の廃止などの事実を確認できたときは、失業等した方の前年所得にかかわらず、免除・納付猶予を受けられる特例があります。(=失業等した申請者の前年所得金額を0円とみなし、世帯主および配偶者の前年所得金額のみで免除の可否を判定)
 

<4.留意点>
①例えば夫婦の内一方が失業した場合、上記3.のとおり失業者本人の所得金額は考慮されませんが、もう一方に一定以上の所得金額があると免除申請したとしても却下されます。(日本年金機構のサイト記載文からは非常に読み取りづらい)

②申請は、原則として毎年度必要です。ただし、全額免除または納付猶予の承認を受けた方が、翌年度以降も全額免除または納付猶予の申請を希望する場合は、継続して申請があったものとして審査(継続審査)を行います。失業等による特例免除承認者は翌年度も申請が必要です。

③マイナポータルを利用して申請する場合、②の注意書きはアプリの申請画面では表示されませんので事前に知っておく必要があります。これに限らず制度の詳細はマイナポータルから年金機構へのリンクから細かい注意点を確認するしか方法がありません。(必読ではなく小さい字でぽつんとリンクが表示されているのみ)
 

<5.例>
2025年6月1日に失業し同10月現在も失業中で免除申請をする場合、❶2024年7月~2025年6月と❷2025年7月~2026年6月の2つの免除申請期間にチェックを入れて申請する必要があります。(失業の場合は継続審査の対象外のため、継続審査希望にチェックを入れても無効となる)

また、仮に免除申請という制度を知らなくて先に納付してから後で免除申請をしても返金はされません。免除申請した後に納付した場合は申請が承認された場合には返金されます。
 

年金制度の複雑さ、年金機構サイトの記載文の分かりにくさ、マイナポータルの使い勝手の悪さといった複合的な要因により希望する手続きができない、もしくは非常に時間がかかる恐れがあります。
ここは改善してほしいところです。

 (小林)

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