事業者が、人工衛星を所有する顧客より発注を受け、ロケットによる人工衛星打上げ輸送サービス(人工衛星の打上げに必要なロケットの準備から顧客が所有する人工衛星を国内の射場より宇宙空間における所定の軌道に投入するまでの各工程をパッケージしたもの)を提供した場合の消費税の取扱いは下記のとおりとなります。
1.内外判定
消費税法における「国内」とは同法の施行地をいうところ(消法2-1-1)、原則として国の法令の効力は領空及び領海を含むその国の領土全域に及びそれ以外の地域に及ばないとされていることから、同法における「国内」とは日本の領空及び領海を含む領土全域を指し、換言すれば、日本の主権の及ぶ地域を指すものと考えられます。
一方、宇宙空間は、1966年12月19日に国連総会で採択(日本における発効は1967年10月10日)された「月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約」(以下「宇宙条約」といいます。)において、宇宙空間は全ての国が自由に探査及び利用できるものであり(宇宙条約第1条)、宇宙空間は主権の主張、使用若しくは占拠又はその他のいかなる手段によっても国家による取得の対象とはならない(宇宙条約第2条)こと等が定められています。
そうすると、宇宙空間には、宇宙条約第2条の規定により、国家の主権が及ばないことから、宇宙空間は、消費税法における「国内」に該当せず、「国内以外の地域」に該当するものと考えます。
よって当該サービスは国際輸送となり、内外判定は出発地または到着地が国内にあるかどうかにより行うため、国内において行う課税資産の譲渡等に該当します。
2.輸出免税取引
国内の射場を出発地とし国内以外の地域(宇宙空間)を到着地とする人工衛星の輸送であることから、「国内及び国内以外の地域にわたつて行われる貨物の輸送」に該当するものとして、国内において行う課税資産の譲渡等に該当するとともに輸出免税の適用があるものと考えます。(消法7-1-3)
(小林)