役員に支給する報酬は、各種制限がありますが、事前確定届出給与は賞与のような形式で支給できるものとして利用されています。
事前確定届出給与は、所定の時期に、確定した額の金銭等を交付する旨の定めに基づいて支給する給与で、定期同額給与及び業績連動給与のいずれにも該当しないものをいい、事前確定届出給与に関する届出書を所定の日までに所轄税務署長に届け出る必要があります。
株主会社においては、会社法上株主総会の決議等により、事前確定届出給与に関する必要な定めを決定することになっています。また、一般的に、役員賞与(事前確定届出給与)は定時株主総会から次の定時株主総会までの間の職務執行の対価であり、その職務の執行の開始の日は定時株主総会の開催日となると解されます。
では、合同会社の場合はどうでしょうか?
合同会社では、株式会社において必要とされる、株主総会での役員報酬額の決議や計算書類の承認などが会社法で規定されておらず、必須ではありません。そのため、事前確定届出給与の支給する際には必要な定めが不足することが多く、別途定める必要があります。また、一般的な職務執行期間は当てはまらないため、次のように、株主会社と比較し必要な定めを充足できるような取扱いが必要です。
・一定の時期(株式会社と同等の3か月以内)に定時社員総会を開催することとしている
・業務執行社員の任期を総社員の同意をもって決定し、定款に明記する
・定時社員総会で決定された役員給与に係る職務執行期間の開始の日は、定時社員総会の開催日とする
・定時社員総会にて、役員賞与等の支給日と支給額を総社員の同意をもって決定する
https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/bunshokaito/hojin/250207/01.htm
なお、有限会社においては、任期の定めが任意であるため、任期の定めをすることが必要となります。
合同会社は、初期費用や短期で設立できるメリットの他、株主総会や決算公告なども不要で、機動的な経営ができ、新設会社も増加傾向にあります。機動的な分、株式会社との異なる点も多くあるため、留意が必要です。
合同会社のメリット・デメリット
⇒https://www.orion-tax.jp/blog/911/
(ari)