オリオン税理士法人
法人税

棚卸資産の評価方法による影響


 期末に計上する棚卸資産の金額は、どの評価方法を選択するかによって大きく左右されます。
期末在庫が多く計上されれば、その分、当期の費用として処理される売上原価は圧縮され、結果として利益は増加します。反対に、在庫評価を低めに行えば、売上原価は増え、利益は相対的に小さくなります。
 このような関係から、棚卸資産の評価方法は、形式的な会計処理ではなく、企業の収益構造や税負担に直接影響を与える要素の一つといえます。事業内容や経営環境に適した評価方法を選択することにより、数字上の利益と実際の経営実態との乖離を抑え、より実効性の高い経営判断を行うことが可能となります。
  棚卸資産の期末評価方法は、原価法と低価法の2つに区分されます。
いずれの方法を採用するかによって、期末棚卸資産の評価額が変わり、結果として利益や法人税額にも影響を及ぼします。
 原価法は、棚卸資産を取得した際の価額を基準として評価する方法であり、税務上は6種類の評価方法が認められています。
個別法
先入先出法
総平均法
移動平均法
最終仕入原価法
売価還元法
棚卸資産の評価方法で原価法を選択し、最終仕入原価法以外の方法で評価したい場合には、税務署に「棚卸資産の評価方法の届出書」を提出する必要があります。届出を行わない場合には、税務上は最終仕入原価法を採用したものとみなされます。
 一方、低価法は、原価法により算定した取得価額と期末時点における時価とを比較し、いずれか低い金額をもって評価する方法です。
棚卸資産の評価方法で低価法を選択する場合には、税務署に「棚卸資産の評価方法の届出書」を提出する必要があります。なお、選択後は原則3年間その評価方法から変更できないのでご留意ください。

 決算の際に、価値が下がってしまった棚卸資産を安易に除外することは、税務上のリスクを伴います。税務調査では、棚卸資産の計上漏れがないかが重点的に確認されるためです。
災害により著しく損傷したことにより棚卸資産の時価が帳簿価額を下回ることとなった場合や、著しく陳腐化したことにより時価が帳簿価額を下回ることとなった場合には、その評価損は在庫の実態を反映したものとして、税務上も損金として認められます。
一方で、これらの要件に該当しない場合には、評価損の損金算入について、税務上慎重な判断が求められます。
 そこで、低価法の活用が有効になります。
低価法を適切に用いることで、価値が下がった棚卸資産を除外することなく、取得価額と時価を比較したうえで、実態に即した評価を行うことが可能となります。
もっとも、評価損の損金算入が認められるかどうかは、棚卸資産の状態や時価の算定根拠など、個別の事実関係に基づいて判断されます。単に「利益を抑えたい」「税負担を軽減したい」という理由だけで評価方法を選択するのではなく、事業内容や在庫の性質を踏まえたうえで、適切な評価方法を検討することが重要であると感じました。

ビッキー

お使いのブラウザーはこのサイトの表示に対応していません。より安全な最新のブラウザーをご利用ください。