オリオン税理士法人
その他税目

非常勤医師への支払について


病院やクリニックでは、常勤の医師だけで運営している場合、常勤の医師に何かあった場合に、
非常勤医師に頼らざる負えなくなるケースがあります。

非常勤医師への支払について1日いくらなど手取り額で契約するケースが多く見受けられます。
非常勤医師への支払は、給与なのか、業務委託費になるのか、源泉税はかかるのかなど悩まれるのではないでしょうか。
まず、非常勤医師への支払が業務委託費になるか否かについて下記が業務委託費に該当するかの判断ポイントとなります。
①出勤時間の拘束があるか否か
②報酬の支払いについて
③管理者の指示や命令に従っているか否か
④業務で使用する物品の提供があるか否か

①出勤時間の拘束があるか否かについて
非常勤医師の場合、病院やクリニック側から、何曜日の何時から何時までお願いしますなど依頼されるケースが多いと思います。
その場合、出勤時間が拘束されるため要件が満たされません。話し合いのもと曜日、時間が決められるのであれば、要件は満たされます。

②報酬の支払いについて
診療の内容により報酬料金の価格変動があるのかで判断されます。
非常勤医師の場合、一日いくらなどで契約するケースが多いと思いますので要件が満たされません。

③管理者の指示や命令に従っているか否かについて
診療を行う対象、場所、時間、などの指示があるケースが多いと思いますので要件が満たされません。
ただし、診療行為の責任を非常勤医師がとる場合は、要件を満たす可能性はあります。

④業務で使用する物品の提供があるか否か
使用する機器など非常勤医師が自分で用意する場合は、要件が満たされますが、支給の場合は、要件が満たされません。

上記より、非常勤医師への支払を業務委託費にするのは、要件をすべて満たす必要がありますので非常に難しいです。

また、非常勤医師への支払(昭和59年5月24日裁決、昭和62年12月25日裁決)複数病院から受けた所得(平成24年9月21日裁決)において給与所得と取り扱われております。

上記より、非常勤医師への支払は、給与とするのが一般的な取扱いとなります。

つぎに源泉税の計算はどうするかについてです。
非常勤医師は、複数の病院やクリニックでの収入があり、非常勤の病院やクリニックには、給与所得者の扶養控除等申告書を提出していないのが通常です。

よって、甲欄は使用できません。

月額表は、定期的に給与を支払う場合に使用し、日額表は、1週間ごとや働いた都度支払いう場合に使用します。
甲欄は、主な勤務先に扶養控除等申告書を提出している場使用します。
丙欄は、日雇いの場合に使用します。
乙欄は、甲欄や丙欄に該当しない場合に使用します。

ちなみに源泉徴収する際の税率は、日額表より月額表の方が低いです。

下記に該当する場合は、月額表の乙欄を使用することができます。
①月間の給与総額をあらかじめ定め、これを月ごと又は派遣を受けるつど分割して支払う
②月中に支払う給与をまとめて月ごとに支払うこととする

①、②に該当しない場合平成23年6月7日裁決により下記の取扱いになります。
・大学病院から派遣された医師について、回数は決まっているが、派遣医師は決まっていない場合日額表の乙欄を使用
・曜日などが定期的決まっている場合は、月額表の乙欄を使用
・曜日などが定期的決まっていなく、その都度勤務し、継続して勤務する契約もしていない場合は、日額表の丙欄を使用

ケースによって、源泉の取扱いも違い、源泉額も大きく異なるので、注意が必要です。

ビッキー

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