オリオン税理士法人
所得税

所得税58条の等価交換について_交換の一方が交換後すぐに売却する場合


1.交換特例の概要

 個人が土地や建物といった固定資産を物々交換していく場合、国税庁としては当該固定資産のキャピタルゲインに対する課税のタイミングを逸してしまうことから、交換は原則「譲渡」と考えます。ただし、等価交換等の場合、金銭の授受もなく担税力がないことから一定の要件を満たした場合には、譲渡がなかったものとして課税を繰延べる固定資産の交換の特例という制度が設けられています。なお、交換特例を満たしている場合で交換差金を受取るときは、交換差益について一部課税されます。

2.交換特例の要件

下記チェック項目全てYesであれば、固定資産の交換特例の対象になります。

1

交換により譲渡する資産及び取得する資産は、いずれも固定資産であること

※不動産業者等が有する販売用不動産は棚卸資産であり対象外となります

2

交換により譲渡する資産及び取得する資産は、いずれも同種類の資産であること

例)土地と土地、建物と建物というようなケース

3   

交換により譲渡する資産は1年以上所有していたものであること

※相続等による場合は、被相続人が資産を取得した日から所有期間を計算する

4

交換により取得する資産は、交換の相手が1年以上所有していたものであり、かつ交換のために取得したものでないこと

5

交換により取得する資産を、譲渡する資産の交換直前の用途と同じ用途に使用すること

※「同じ用途」とは資産の種類に応じて、土地であれば「宅地」と「宅地」、「田・畑」と「田・畑」等の交換であること、建物であれば、「居住用」と「居住用」、「店舗」と「店舗」、「工場」と「工場」等の交換であることを意味する

6

交換により譲渡する資産の時価と交換により取得する資産の時価との差額が、これらの時価のうち何れか高い方の時価の20%以内であること

3.交換相手の一方が売却を前提として交換した場合

交換特例は、上記の要件をすべて満足す必要がありますが、そのうち5について度々問題になることがあります。

『「同じ用途」に使用すること』、を前提としているため売却を前提とした場合には要件を満たさないことになります。

その場合、交換相手の一方が継続的に使用することを前提としており、他方が売却を前提に交換した場合、両当事者が交換特例を満たさなくなるのか?疑問に思う方もいるかもしれません。

結論から言うと、継続的に使用することを目的に交換した者は交換特例を利用でき、売却を前提に交換した者は利用できません。

上記の要件では、5以外の要件については双方の固定資産が要件を満たす必要がありますが、要件5についてはそれぞれの交換者で判断することになります(所基通58-9)。

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