オリオン税理士法人
所得税

減価償却方法の変更<個人事業主>


確定申告の申告時期が近づいてきました。

今年は去年同様申告期限が延長されます。
所得税・消費税・贈与税は4/15(木)が申告期限となります。
また振替納税は所得税が5/31(月)、消費税が5/24(月)となります。

確定申告を自身で行う場合、今年は申告会場で入場整理券による申告相談となります。
国税庁LINE公式アカウントから事前予約するか、当日券を発行するかになります。

ほぼ毎年、税務署に相談に行って申告会場への案内を促されている方を見かけます。
ご自分の納税地によっては税務署ではないところもありますので、事前に確認が必要です。
今年はe-Taxによる申告を税務署が推進しているので、可能ならe-Taxで申告したほうがいいと思います。

 

・減価償却方法の選定の届け出について

①内容
 個人事業者が取得した減価償却資産につき、届出により償却方法を変更する場合に提出します。
 個人事業者が開業、または選定をしている減価償却資産以外の減価償却資産を取得、並びに新たに事業
 所を開業し既に選定している方法以外の方法を選定する場合には所轄税務署長に「所得税の減価償却資
 産の減価償却方法の届出書」を提出する必要があります。

②提出期限
 新たに業務を開始した日、資産を取得した日、新たに事業所を設けた日の属する年分の所得税確定申告
 書の提出期限まで

③提出しない場合
 法定償却方法である定額法となります。

(例1)
令和3年中に賃貸不動産を取得し、不動産所得が生じることとなった場合
開業後に車両を購入、定率法により償却をしたい場合には令和4年3月15日までにこの届出書の提出が必要になります。

償却方法の選定単位は、減価償却資産の種類ごと(詳細は割愛します)になります。
また2以上の事業所を有するときは事業所ごとに償却方法を選定することができます。(所令123①)
なので同じ車両という種類の減価償却資産であっても事業所ごとに別の方法により償却することができます。

また、不動産賃貸業において有する車両につき、定率法に変更したい場合には、定額法を3年間採用した後でなければ定率法には変更できません。
変更したい場合には、変更する年の3/15までに所轄税務署長に「所得税の減価償却資産の減価償却方法の変更承認申請書」を提出します。
こちらは申請書のため、承認されれば(変更年の12/31までに通知がない場合を含む)採用となります。

(例2)
既に不動産所得があり新たに令和4年中において小売業を始めた場合、不動産所得において事業の用に供している車両について選定なしである場合、事業所得において事業の用に供する車両につき定率法を採用したいのであれば、令和4年3月15日までに変更承認申請書の提出が必要となります。(3年間は定額法を採用している前提とする)

なお「新たに業務を開始した日」とは「新たに不動産所得、事業所得、山林所得、または雑所得を生ずべき業務を開始した日(所令123②一)」であり、各種所得は並列記載であるからそのいずれかを新たに開始した日が「新たに業務を開始した日」になると思われます。

このように制度がかなり複雑怪奇で罠が張られているため、個人事業者は定額法で償却するのが安牌であると思われます。

 (小林)

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