オリオン税理士法人
消費税

適格請求書(インボイス)等保存方式と法人成り


令和5年10月1日より“適格請求書(インボイス)等保存方式”、いわゆるインボイス制度が導入されます。
インボイス制度の導入により、事業者においてはインボイス発行事業者からの課税仕入れについてのみ、原則消費税の控除をとることができます。そのため、売り手側においてはインボイス発行事業者となる手続きを、買い手においてはインボイス発行事業者からの購入を、今後することになっていくと思われます。
実際、2019年8月の日本商工会議所の調査では、課税事業者のうち1割が免税事業者との取引を見合わせるとの回答をしています。
 ◆「中小企業における消費税の価格転嫁等に関する実態調査」調査結果
   https://www.jcci.or.jp/190805kekka.pdf

インボイス発行事業者となるためには、適格請求書発行事業者の登録申請をする必要があります。
こちらは消費税の課税事業者でなければ登録を受けることができないこととなっており、令和3年10月1日より登録申請が可能です。
消費税の課税事業者である事業者は早速登録手続きをすることになるでしょうが、現在消費税の免税事業者である事業者は、上記の調査結果を踏まえ自ら課税事業者を選択するか、引き続き免税事業者でいるかを選択しなくてはなりません。
免税事業者との取引には一定の経過措置はあるものの、多くの事業者は令和5年10月1日以降課税事業者を選択するのではないでしょうか。

上記より、法人、個人事業主いずれにおいても令和5年10月1日から消費税の課税事業者となるのであれば、
すでに課税事業者である個人事業主においては、令和3年10月1日までに法人成りすることをお勧めいたします。
というのも、消費税の課税事業者であるかどうかの判定は2期前の課税売上高が1,000万円を超えているかどうかです。
設立1期目と2期目の法人では、それぞれ2期前の課税売上高が存在しないため、消費税の納税義務が免除されることとなるからです。
 ※課税売上高以外の判定要素もありますが本ブログでは割愛させていただきます。
したがって、消費税の免税事業者のメリットを最大に受けるためには令和3年10月1日までに法人成りが必要となるわけです。

今回、消費税についてのみ焦点を当てましたが、法人成りには登記費用がかかったり、社会保険の加入義務があったりするため、
最終的に法人成りをするかどうかは総合的にシミュレーションをして判断いただければと思います。

y.s

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