オリオン税理士法人
所得税

時効の援用時の税務


「時効」という言葉をご存じの方は多くいらっしゃることと思いますが、
実際に時効の手続き(時効の援用)を行った方はかなり少ないと思います。
そもそも時効の援用手続きを行わないと時効が完成しない、ということを知らない方も多いのではないでしょうか。

時効の援用手続きにより時効が完成されますと、財産の取得又は経済的利益を受ける(以下、「経済的利益等」)こととなります。
税法では、この時効の援用により経済的利益等を受けた場合の規定も設けており、所得税の一時所得に該当するとしています。
債務の免除であれば、債務金額が一時所得の収入金額となりますが、不動産の時効取得であるならば、不動産の時価が収入金額とされるため、時価の算定の必要性が出てきます。

また、一時所得は
 (収入金額-直接要した経費-50万)×1/2
により計算した金額が課税されることとなりますが、総合課税により税額が計算されるため、
最大で55%の税率にて所得税と住民税として課税されます。
しかし、時効の援用による経済的利益等は金銭を全く受け取っていませんので、納税資金の確保が必要となります。

不動産の時効取得の場合には、少なくとも10年は不動産を占有することが条件だったりするため、
税理士としての人生の中で出会うことは果たしてあるのだろうかと考えてしまいますが、
ご相談があった際には、納税資金のアドバイスも含めてしっかり行えるようにしておこうかと思います。

No.1493 土地等の財産を時効の援用により取得したときhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1493.htm

y.s

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