オリオン税理士法人
雑記

人的資本経営


大企業を対象として、2023年3月以降の有価証券報告書に「人的資本経営」の開示義務が課される予定です。

経済産業省によれば、人的資本経営とは
【人材を「資本」として捉えその価値を最大限に引き出すことで中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方】
と定義されています

参考:人的資本経営 ~人材の価値を最大限に引き出す(経済産業省)

これまで人的資本経営の実践や開示に関する報告書や指針が
経済産業省や金融庁から公表され(下記参考を参照)
これら報告書では、人材育成方針や男女間賃金格差などを有価証券報告書に記載することが提言されました。

(参考)
2020年9月:経済産業省が「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会報告書~人材版伊藤レポート~」を公表
2022年6月:金融庁の金融審議会が「ディスクロージャーワーキング・グループ報告」を公表
2022年8月:内閣官房の非財務情報可視化研究会が「人的資本可視化指針」を公表

今まで、人にかかる費用を人的資源として「コスト」と考えられてきたものが
「人的資本経営」では「資本」と考えるようになり
人にかかる費用は大きな成果を生むための投資すべき対象と考え、人に関する情報の開示に関する動きが加速しています。

これは「大企業だけの問題だ」と考える事はできません
中小企業にとっても重要な事です。
2022年に中小企業庁が発表した「中小企業白書」でも、人的資本に投資する重要性について言及されました

現在、既に法令や制度で人的資本の開示等が定められているものの中で代表的なものをいくつか挙げると
以下のようなものがあります

女性活躍推進法:女性の活躍に関する採用や内部登用に関する情報を開示(常時雇用101人以上:義務、100人以下:努力義務)
次世代育成支援対策推進法:育児休業等の支援に関する計画を開示(常時雇用101人以上:義務、100人以下:努力義務)
労働施策総合推進法:中途採用比率の開示(常時雇用301人以上:義務、その他の企業:努力義務)

現在は労働者数の多寡で開示の適用除外になっている場合でも今後、どうなるかは定かではありません。
また、開示する事で、その会社の広報、採用活動の際、社会にアピールする事ができます。

大きな流れとして、全ての企業にとって
「人的資本経営」は、人を資本として重視し可視化、また改善、向上するよう実践する事で
厳しい経営環境を生き抜き、企業が成長していく上で、重要な考え方だと思います。

K.K.K

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