相続した不動産の売却に係る税金の求め方 – オリオン税理士法人
賃貸併用住宅で、建物の一部を賃貸していたケースで、相続開始日において入居者がいる場合は、
「被相続人以外に居住をしていた者」がいることになるのでしょうか?
結論からすると、被相続人以外にその家屋に居住の用に供していた者がいたことになり「空き家特例」は利用できません(措基通35-12参照)。
では、相続開始前に賃借人が退去していた場合にはどうでしょうか?
この場合は、「空き家特例」の対象となります。
(「被相続人以外に居住をしていた者」の範囲)
措基通35-12 措置法第35条第5項第3号に規定する「当該被相続人以外に居住をしていた者」とは、相続の開始の直前(当該被相続人の居住の用に供されていた家屋が対象従前居住の用に供されていた家屋である場合には、特定事由により当該家屋が居住の用に供されなくなる直前)において、被相続人の居住の用に供されていた家屋を生活の拠点として利用していた当該被相続人以外の者のことをいい、当該被相続人の親族のほか、賃借等により当該被相続人の居住の用に供されていた家屋の一部に居住していた者も含まれることに留意する。(平28課資3-4、課個2-33、課審7-11、徴管6-24追加、令元課資3-3、課個2-20、課法11-5、課審7-3、令5課資3-5、課法10-37、課審7-5、徴管6-27改正)
空き家特例の制度趣旨が、固都税の軽減のため旧耐震家屋が空き家として放置されることによる防犯上、景観上、衛生上等の問題から当該特例が制定されたことを考えると、入居者がいる以上、放置された家屋とは言えず一定の合理性があるように思われます。
一方で、このような厳格な規定にしてしまった場合、相続後の空き家特例の利用を前提としたうえで、旧耐震の家屋の入居者を追い出すような状況にならないとも限りません。
もう少し、柔軟な制度運用を求めたいところです。
水品