オリオン税理士法人
不動産関連

家屋と敷地の所有者が異なる場合の3,000万円控除と軽減税率の利用可否


(1) 敷地の所有者が3,000万円控除を受けられる要件

マイホーム(居住用財産)を売った場合、譲渡所得から最大3,000万円までの控除を受けられる特例があります。

この特例は原則として家屋の所有者が家屋とその敷地を譲り渡した場合に受けられますが、敷地しか所有していない方も、下記要件の全てに当てはまる場合には、この特例を受けることができます。

① 敷地を家屋と同時に売ること。

② 家屋の所有者と敷地の所有者とが親族関係にあり、生計を一にしていること。

③ その敷地の所有者が、その家屋の所有者と一緒にその家屋に住んでいること。

この場合、家屋の所有者と敷地の所有者が合計で3,000万円までの特別控除を行うことができ、特別控除額は家屋の所有者→敷地の所有者の順に差し引くことができます。

したがって、敷地の所有者が受けることができる特別控除額は、3,000万円から家屋の所有者が受ける特別控除額を差し引いた残額となり、家屋の所有者に3,000万円以上の譲渡所得が生じた場合、敷地の所有者は一切特例の適用を受けることはできません。

(2) 敷地の所有者が軽減税率を受けられる要件

さらに、所有期間10年を超えるマイホーム(居住用財産)を売った場合には、6,000万円までの譲渡所得に対しては軽減税率(20.315%→14.21%)が適用されます。

軽減税率も3,000万円特別控除と同様に家屋の所有者が家屋とその敷地を譲り渡した場合に受けられますが、敷地しか所有していない方も、(1)の要件の全てに当てはまる場合には、軽減税率の適用を受けることができます。

軽減税率は家屋の所有者、敷地の所有者がそれぞれ6,000万円までの譲渡所得に対して適用を受けることが可能です。

(3) ケーススタディ

土地:取得費5,000万円、譲渡代金1億円 所有者 母1/2、子1/2

建物:取得費5,000万円、譲渡代金1億円 所有者 母1/1

母:(1億円-5,000万円)+(1億円-5,000万円)×1/2=7,500万円

  7,500万円-3,000万円(特別控除)=4,500万円

  4,500万円×14.21%=6,394,500円

子:(1億円-5,000万円)×1/2=2,500万円

  2,500万円-0円(特別控除)=2,500万円

  2,500万円×14.21%=3,552,500円

(4) おわりに

本稿は家屋と敷地の所有者が異なる場合の3,000万円控除と軽減税率の利用可否に焦点を当てて書いております。3,000万円控除や軽減税率の適用に当たっては満たさなくてはいけない要件が他にもいくつかございます。詳細は下記国税庁HPでご確認下さい。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/jouto.htm

(HIPON)

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