オリオン税理士法人
所得税

更地引き渡しにより空き家特例を受ける場合の注意点


居住用として利用されていた家屋が、居住者の死亡後相続人が住まないことで空き家となった場合、
空き家を管理する手間や費用がかかることから相続人の方が家屋と敷地を売却するケースがあります。
国としては空き家の増加を防ぎ、空き家の敷地を活用したいことから、空き家の売却を後押しするため、税制において空き家の売却により生じた所得に対して特例を設けています。(以下、「空き家特例」といいます。)

空き家特例の適用要件の一つに、空き家を取り壊して更地により引き渡しをするというものがあります。
(耐震リフォームにより、空き家特例を受ける場合は除く。)
この更地による引き渡しにより空き家特例を受ける場合には次のような注意が必要です。

①引き渡し日ベースで確定申告をする場合
 売買契約時に空き家が存在していたとしても、引き渡し時までに空き家の取り壊しが済んでおり、
 引き渡し日の属する年分で譲渡申告をするのであれば空き家特例の適用が可能となります。

②契約日ベースで確定申告をする場合
 所得税においては、譲渡の時期を≪資産の引き渡しがあった日≫と≪契約締結日≫のいずれかを納税
 者が選択できることとなっています。①とは異なる、契約日の属する年分で譲渡申告をすることも可能
 ということです。
 空き家特例は、選択した譲渡の時期で空き家特例の要件が充足されているかを判定することとなっている
 ため、②により空き家特例の適用を受ける場合は、売買契約の締結時までに空き家の取り壊しが済んでい
 ることで適用が可能となります。

現行法では令和5年までの譲渡にしか空き家特例は適用できないため、適用期間の間際には注意が必要と思われます。また、自己の居住用不動産の譲渡の特例との併用が可能ですが、2つの特例を合わせての控除限度額は6,000万円ではなく3,000万円のため、譲渡時期をずらして2つの特例を受けて申告する際にも気を付ける必要があります。
相続により取得した不動産の活用の相談を受けた際には気を付けたい事項です。
なお、空き家特例には上記以外にも多くの適用要件があるため、他の要件を充足する必要があるためご留意ください。

y.s

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