オリオン税理士法人
所得税

係争中の家賃の所得税法上の取扱い


(1) 賃料についての係争が行われている場合

不動産所得の収入として計上する時期はそれぞれ以下の日とされています。

イ 賃貸料の内、契約又は慣習により支払いの日が定められている場合にはその支払日、支払日の定めれていない場合にはその賃貸料の支払いを受けた日(請求があった時に支払うとされている場合にはその請求日)

ロ 不動産の貸付けにより一時に受け取る頭金、権利金、名義書換料、更新料等の内、その貸付契約において資産の引渡しを要する場合にはその引渡日(又は貸付け契約の効力発生日)、引渡しを要しない場合には貸付契約の効力発生日

例1)家主が3万円の家賃を4万円に上げる要求をしたが、借主が拒否したため、借主が3.5万円を裁判所に供託して係争している場合

→3.5万円は供託により受け取っていなくても本年の所得として申告します。

→判決和解等により値上げされた金額や遅延利息等から既に供託された家賃分を差し引いた残額は判決、和解等があった日(年)の所得として申告します。

例2)契約に基づく家賃3万円が支払われないことに対して係争している場合

→3万円は契約により支払日が決まっているため、受け取っていなくても本年の所得として申告します。

(2) 賃貸借契約の有無について係争が行われている場合

一方、賃貸借契約の有無について係争等になっている場合には、係争期間中の賃貸料相当額(供託されているもの、供託されていないもの及び遅延利息その他損害賠償金を含みます。)は、原則としてその判決、和解等のあった日(年)の収入となります。

なお、この場合の賃貸借契約の有無とは、例えば、認知症の家主を騙して不法占拠している場合などを前提としており、単に賃貸借契約の更新が失念していた間に起きた係争などの場合には(1)の取扱いが適用されるものと思われます。

(Hipon)

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