オリオン税理士法人
その他税目

税理士に対する懲戒処分事例


国税庁のHPに税理士・税理士法人に対する懲戒処分等(令和4年6月30日現在)が公表されています。

その中に興味深い事例があります。

  • 故意による不真正税務書類の作成

 被処分者は、関与先であるA社の法人税の確定申告に当たり、開催されていない臨時株主総会において、決算期が5月から3月に変更されたと偽装することによって、4月及び5月に生じた収益を除外し、所得金額を圧縮した真正の事実に反する申告書を作成した。

また、同社の消費税及び地方消費税の確定申告に当たり、開催されていない臨時株主総会において、決算期が5月から3月に変更されたと偽装することによって、4月及び5月に生じた課税売上高を除外し、消費税及び地方消費税額を圧縮した真正の事実に反する申告書を作成した。

 決算期変更のためにバックデートで株主総会の開催を偽装したということのようです。親族だけが株主の非上場会社などでは、株主総会は開催しないことも多いかと思います。株主総会で決定される事項で税務に影響を及ぼすものについては、書面決議になるとしてもきちんと開催するようにしましょう。

懲戒処分事例で多いのは、売上除外や費用の過大計上、架空経費の計上などの故意による不真正税務署類の作成等の脱税幇助、名義貸し、自己の無申告等ですが、そのほかにも、架空経費顧問先の調査を担当していた税務職員の顎を殴打し、全治1週間の怪我を負わせた、という珍しい事例もありました。

 平成30年以降、懲戒処分等件数は減少傾向にありますが、懲戒処分逃れのために自主廃業し、数年度に税理士として復帰するという、自発的退会者も数多くいるようです。この懲戒処分逃れについては2022年の税制改正で手当てされましたが、令和5年4月1日以後の違反行為等についての適用となります。

 こういった懲戒事例を他山の石として気をつけたいですね。

(T.I.)

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