オリオン税理士法人
法人税

減資について


減資とは、資本金を減らす手続きのことを言います。
減資を行う目的は、主に株主への財産還元、自己株式取得の財源確保、節税、欠損補填による経営の立て直しなどがあります。

減資には2種類あり、有償減資と無償減資があります。

・有償減資とは、資本金の減少と剰余金の配当の2つの取引が組み合わさったものを言います。
株主への財産還元や自己株式取得の財源確保を主な目的としています。

有償減資は、株主への財産還元を主な目的としていると先ほども言いましたが、
なぜかと言うと、株主は、将来の企業の成長性を見込んで出資します。
利益が出せれば、株主に配当することができます。

損失の場合は、通常無配当になりますが、株主との関係が崩れる可能性があります。
その場合は、資本金から直接配当を支払うことができないため、資本金をその他資本剰余金に振替えて、
その他資本剰余金を原資として株主への配当を行うことが可能になります。
ただし、配当を行うことにより会社の資金は減ってしまいます。

有償減資で注意する点は、みなし配当です。

減資によって生じたその他資本剰余金を株主へ配当する場合、形式的には出資の払い戻しになりますが、
払い戻し金額のうち出資した金額を超える部分は、みなし配当として源泉徴収(20.42%)が必要となります。

みなし配当額について
例)
前提 
減資前の簿価純資産額200,000円、資本金50,000円、資本準備金50,000円
資本金を10,000円をその他資本剰余金に減資する。
株主に10,000円の金銭払戻しを行う。
減資後、その他資本剰余金を原資として配当を行う.
なお、有償減資前の資本金等の額(別表5-2)も上記と同額とする。

100,000円÷200,000円×10,000=5,000円
10,000円-5,000円=5,000円→みなし配当

無償減資とは、資本金の減少のみで金銭の動きのない形式的な減資のことを言います。
節税や欠損補填による経営の立て直しを主な目的としています。

無償減資は、節税を主な目的としています。
資本金が1億円超である法人を対象とした法人事業税の課税方法である外形標準課税の適用から外れることができます。
その他、交際費の全額損金算入が可能(800万上限)、法人税率の軽減税率の適用、少額減価償却資産の損金算入の適用(30万円未満の固定資産を取得した場合)、繰越欠損金の全額控除の適用、欠損金の繰戻しによる還付などです。

減資の手順
まず、株主総会での特別決議が必要になります。
ただし、株主利益が損なわれることがない場合については、株主総会での特別決議を要しないことを認めています。
・資本金の減少額を全額欠損補填に充てる場合(株主総会の普通決議)
・増減資を同時に行う場合で一定の場合(取締役会決議)

決議事項
減少する資本金の額
減少する資本金の額の全部または一部を準備金とするときは、その旨および準備金とする額
資本金の額の減少が効力を生じる日

次に債権者保護手続きが必要となります。
債権者保護手続きには、1か月以上の異議申出期間を定めての官報での公告、及び債権者に対する勧告が必要となります。
定款の公告方法には、官報、日刊新聞紙、電子公告などがあります。
日刊新聞紙、電子公告により公告した場合には、債権者への個別催告を省略することができます。

効力の発生について
資本金の額の減少の効力の発生は、原則、株主総会での決議等で決められた効力発生日になります。
ただし、その日までに債権者保護手続きが終了していないときは、効力が発生しません。
効力発生日前であれば、いつでも効力発生日を変更することができます。

債権者保護手続きが終了していない場合には、取締役会等の決議で変更することができます。
最後に法務局への資本変更登記の申請を行います。
資本金の額の減少の効力発生日から2週間以内に、本店所在地を管轄する法務局に減少後の資本金の額の登記を行います。

減資を行う場合は、メリット、デメリットをよく考慮し行うようにしましょう。

ビッキー

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