オリオン税理士法人
法人税

資本金1億円の分かれ目


新型コロナウイルスの影響による業績悪化で大企業が軒並み減資を行い、資本金を1億円にし、中小企業となるケースが増えている。
資本金が1億円を超えるかどうかが中小企業と大企業との分かれ目となっているからです。

中小法人は、普通法人のうち各事業年度終了の時において資本金の額が1億円以下であるものだが、
各事業年度終了の時において次に掲げる法人に該当する場合は、除外となります。
・大法人(資本金の額が5億円以上の法人)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人

似ているものとして中小企業者があります。
中小企業者は、各資本金の額が1億円以下であるものだが、各事業年度終了の時において次に掲げる法人に該当する場合は、除外となります。

*優遇制度によって、事業年度終了の時、該当しないこととなった日前など判定時期がことなるので注意が必要です。
・その発行済株式の総数の2分の1以上が同一の大規模法人の所有に属している法人
・その発行済株式の総数の3分の2以上が2以上の大規模法人の所有に属している法人

*大規模法人とは、資本金の額、出資金の額が1億円超の法人、又は資本、出資を有しない法人のうち
常時使用する従業員の数が1,000人超の法人

資本金1億円以下に減資するメリットは、下記のようなものがあります。(中小法人)・・・法人税法
① 法人税の軽減税率制度
所得金額が年800万円以下の部分については、15%の軽減税率が適用されます。
(年800万円超の部分は一律23.2%) 

② 欠損金の繰戻し還付
当期が赤字で前期が黒字であり、税金を支払っている場合、前期に納めた税金を還付してもらうことが出来ます。

③ 年間800万円までの交際費の損金不算入制度の特例
大法人は、原則飲食等を除く交際費は損金不算入ですが、中小法人は、年間800万円以下の交際費が損金算入となります。

④ 欠損金の繰越控除制度
青色申告法人で、欠損金が生じた場合には、最大10年間の繰越ができます。
大法人は、所得金額の50%までしか控除できないが、中小法人は全額控除を受けることができます。

⑤ 特定同族会社の留保金課税の適用除外
株主1グループで50%以上の株式保有等している特定の同族会社が、利益を配当しないで内部留保した場合には、
課税留保金額に10~20%を乗じた金額が課税されなくなります。

⑥ 外形標準課税の適用除外
外形標準課税(付加価値割と資本割)の対象から外れるので付加価値割と資本割を支払わなくてもよくなります。

⑦ 貸倒引当金の設定
貸倒引当金を計上することができます。

資本金1億円以下に減資するメリットは、下記のようなものがあります。(中小企業者)・・・租税特別措置法

①少額減価償却資産の損金算入特例
30万円未満の資産をその年度に全額損金計上することができます。(中小法人は年間300万円を上限)

②中小企業投資促進税制
機械装置等に設備投資したときに、取得価額の30%の特別償却をすることができます。
また、資本金3,000万円以下の法人は、取得価額の7%の税額控除を選択することもできます。

③その他
試験研究費の税額控除の上乗せ措置や所得拡大税制の上乗せ措置があります。

上記のように、1億円が優遇措置の分かれ目となっているので、大企業が新型コロナウイルスの影響による業績悪化で
減資することは必然だと思います。逆に増資する場合は、中小企業の優遇措置がなくなる上、
所轄が税務署から国税局に変わるので、調査は厳しくなるのでご注意を!

ビッキー

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