オリオン税理士法人
所得税

空き家特例「一緒に介護施設に入所した場合」の留意点


空き家特例は、被相続人が亡くなる直前まで居住していた家屋(マンション等の区分所有建物を除く)で一定の要件を満たす場合に、当該居住用家屋を相続した人が売却した場合に、課税所得から3000万円を特別控除することが出来る特例です。

この特例については、被相続人が亡くなる前に老人ホーム等の介護施設に入居していた場合であっても、入居時に要介護認定や要支援認定を受けており一定の要件を満たす場合には、相続開始の直前に当該家屋に居住していなくとも特例の適用が可能となっています。

では、夫婦が同日付で介護施設に入所した場合には、空き家特例が利用できるでしょうか?

 【時系列】

  1. 父母は自宅で同居しており、子は別居していた
  2. 父母共に要介護度が増し自宅での生活が困難になり、同時に介護施設に入所し自宅が空き家になる
  3. 父が亡くなる(一時相続)_母が相続した自宅の売却を検討
  4. 母が亡くなる(二次相続)_子が相続した自宅の売却を検討

【特例の適用判定】

申告者特例の可否備考
≪一時相続≫
空き家特例
不可父が自宅に居住しなくなる直前において
父以外が居住していないことが要件 ※1
≪一時相続≫
居住用家屋の特例
不可母が相続した後、譲渡したとしても
所有と居住が同時に満たせない ※2
≪二次相続≫
空き家特例
不可母が相続したとしても、当該家屋に
居住していないため自宅とみなされない ※3

※1 措置法35条5項3号において、老人ホーム等に入所する場合においても「当該家屋が居住の用に供されなくなる直前において当該被相続人以外に居住をしていた者がいなかったこと」が要件になっている。

※2 平成元年3月28日の最高裁判決によれば「所有者として居住の用に供していたこと」が居住用家屋の3000万円特別控除(措置法35①)の要件とする判断がなされている。

※3 母が相続した時点では老人ホームに入所していることから、そもそも「被相続人の居住用家屋」とみなされない

以上のように、夫婦が同時に老人ホームに入所したような場合には、措置法35条の特例が利用できないものと思われます。このような、規定になっているのはそもそも当該法律の制定時に、同時入居を想定していなかったことによるものと思われます。

ただし、現在の日本では老々介護が社会問題になるなど、夫婦のどちらか一人を自宅に残し、一人だけを介護施設に入れることの方が不安であり、同時に介護施設に入所されるケースは多いものと推測します。

法律も実態に合わせて当該特例が適用できるように改正しなければ、当初の「空き家を減らす」という国の目的が果たせないものであり、是非改正していただきたいところです。

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