住宅ローン控除とは、金融機関等からの借入により住宅を購入した場合、一定の要件を満たせば、借入した住宅ローンの年末時点の残高の1%相当額(上限あり)を所得税や住民税から控除することができる制度です。
新築や中古物件の購入だけでなくリフォームをした場合にも一定の条件を満たせば住宅ローン控除の対象になります。また、令和元年10月からの消費税引き上げに伴う購入時の負担を軽減する為、注文住宅の場合は令和3年9月30日までの契約、分譲や既存住宅の場合は令和3年11月30日までの取得等で、消費税10%が適用される場合に、令和4年12月31日までに居住したときは、住宅ローン控除の期間が現状の10年間から3年延長され13年間となります。
下記チェック項目全てYesであれば、住宅ローン控除の対象になります。
- 日本の居住者である
- 配偶者や同居親族等からの購入ではない
- 取得の日から6か月以内に居住し、適用を受ける年の12月31日まで住んでいる
- 住宅ローン控除を受ける各年の合計所得金額が、3,000万円以下である※
- 取得した住宅の床面積が50㎡以上で、床面積の1/2以上が居住の用に使われてる
- 金融機関等からの住宅ローンの借入で、10年以上の返済期間になっている
- 居住の年とその前後2年間の5年間(令和2年4月1日以後に譲渡した場合は、前2年・後3年の6年間)の間に、自宅売却の軽減税率や3,000万円特別控除、自宅の買換特例等の特例を受けていない
- 自宅の買換え等の場合の譲渡損失及び繰越控除特例との併用は可能
※令和3年の税制改正により、前頁の要件チェック4又は5の要件に変えて、床面積が40㎡以上50㎡未満の場合も、住宅ローン控除を受ける各年の合計所得金額が1,000万円以下であれば対象となります。
住宅ローン控除の限度額と期間
住宅ローン控除の適用期限は令和3年12月31日までの間に購入し居住した場合に対象になります(消費税増税に係る3年延長の特例は令和4年12月31日までの居住)。また、借入金等の控除の限度額は平成26年1月以降の居住であれば40万円(個人間売買等の場合は20万円)であり、控除率は1%、控除期間は一般住宅の場合10年となります。
一般住宅の場合の住宅ローン控除
居住年 | H26.1.1~R3.12.31 |
借入金の年末残高限度 | 4,000万円 |
控除期間 | 10年 |
控除率 | 1.0% |
各年控除限度額 | 40万円 |
累計最大控除額 | 400万円 |
ワンポイントメモ
住宅ローン控除には、一般住宅の取得の他に、認定長期優良住宅・認定低炭素住宅、東日本大震災の被災者等による住宅ローン控除もあり、それぞれ控除限度額が異なります。
住宅ローン控除の特例の創設
消費税の増税に伴う購入時の負担を軽減する為、消費税10%が適用される住宅の取得について令和4年12月31日までの間に居住の用に供した場合に、住宅ローン控除の控除期間を3年延長する特例が設けられました。

(注)令和3年の税制改正により、前頁の要件チェック4又は5の要件に変えて、床面積が40m²以上50m²未満の場合も、住宅ローン控除を受ける各年の合計所得金額が1,000万円以下であれば対象となります。
11年目以降の控除税額は、次に掲げる1または2の金額のいずれか少ない金額となります。
- 住宅借入金等の年末残高(一般住宅4,000万円、長期優良住宅は5,000万円が限度)×1%
- 建物の税抜取得価額(一般住宅は4,000万円、長期優良住宅は5,000万円が限度)×2%÷3
所得税控除額を計算してみよう!
Q.
Aさんは、令和3年10月に銀行から借入し、マイホームを4,000万円(建物代金3,000万円、消費税10%)で購入、入居しました。購入から11年後も確定申告により住宅ローン控除を行う予定です。購入後、11年目の給与収入は600万円で所得税は23万円でした。また、12月末日の借入残高は2,500万円でした。なお、住宅ローン控除の適用要件は全て満たしているものとします。
A.
1.借入残高 | 令和13年12月31日借入残高 2,500万円 (住宅取得費より借入残高が多い場合には取得費を上限とする) |
2.住宅ローン控除限度額 | 2,500万円×1%=25万円 ≧ 3,000万円×2%÷3=20万円 住宅ローン控除限度額(少ない金額):20万円 |
3.令和13年所得税額 | 23万円 |
4.所得税控除額 | 23万円>20万円 ∴20万円の還付※ |
※仮に所得税から控除しきれない住宅ローン控除限度額がある場合には、住民税から控除を受けることが可能になります。平成26年4月~令和4年12月居住の場合には、当該年分の所得税の課税総所得金額等の額の7%(最高13.65万円)を限度とします。
確定申告添付書類
住宅ローン控除の適用を受ける場合には、初年度は確定申告を行う必要があります。下記の添付書類が必要になるので、収集しておきましょう。なお、サラリーマンの場合、住宅取得初年度のみ、確定申告を行えば、その後は会社の年末調整により住宅ローン控除の手続きを行うことができます。
申告添付書類
- 住宅借入金等特別控除額の計算明細書(国税庁HPより入手可能)
- 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
- 購入した住宅の土地・家屋の登記事項証明書の写し又は不動産識別事項(不動産番号)
- 請負契約書あるいは、売買契約書の写し
- 給与等の源泉徴収票
※マイナンバー制度の導入により、平成28年分以降の確定申告から住民票の写しの提出は必要なくなりました。
ワンポイントメモ
認定長期優良住宅や認定低炭素住宅による住宅ローン控除を受けようとする場合には、上記書類に加えて認定長期優良住宅建築証明書や認定低炭素住宅建築証明書等の書類が必要になります。